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えんため日記。

エンタメだいすきなTV番組制作員(末端)。 日々触れたエンタメの感想を綴る。

【読書】清水潔「桶川ストーカー殺人事件~遺言~」

前回仰天ニュースで、この事件を知り感じたことを書いた。

 

noduuu.hatenablog.com

 

そしてその後、FOCUSの総括本みたいなものも読んでみた。

 

noduuu.hatenablog.com

 

 

またもブックオフで見かけたので、せっかくだしと読み始めたら止まらず、ほぼ1日で読了してしまった。

 

 

上記番組や本を読んだことや、関連するネット記事などを読んで自分なりに事件の概要を把握・理解したと思っていた。そして、ストーカーチームに加え警察側が逮捕されたことでこれは“終わった(解決した)事件”だと認識していた。

 

 

その認識は、大きな間違いだった。

清水潔さんが何故この本を書いたのか?

本書を手に取るまでは“事件を風化させないため”、そして嫌な見方だが“いち写真週刊誌が真犯人・さらには警察の不祥事まで暴いたという手柄・事実を残すため”なのだろうな、などと軽く考えていた。

全く違った。

この事件は発生から17年経った今でも、“終わっていない”のだ。

彼が何のためにこの本を書いたのか。読み終えて、その答えが分かった気がする。

 

 本書の終盤、言ってしまえば同じことしか書いていない。

何度も繰り返し書かれる、警察への不信、疑問、怒り。

勿論、諸悪の根源はストーカーの小松であり、その実行犯達だ。彼が計画しなければ、詩織さんの尊い命が奪われることもなかった。

 

しかし。

「詩織は、小松と警察に殺されたんです」

冒頭に出てくる、この一言が全てだった。

“詩織さんは小松に殺され、警察に殺され、二度殺されたのだ。”

 

 

警察には大なり小なりまだ隠蔽している何かがあるんだろう。

仰天ニュースを見た際のブログ(上記参照)にも書いたことだが、改めてショックだった。

警察=正義の味方、という当たり前の前提が覆されたことが。今まで神話のように信じきっていた、その当然の図式が崩れることが有り得るのだ、と。

 

この事件に限らず、世の中には正直まだまだ事実が捻じ曲げられたり、隠匿されていることがあるのだと思う。それは警察に限ったことではないのだろう。報道しかり、政治しかり。みんな結局「サラリーマン」なのだ。

 

そんな、自らの保守のために正義に反する人々がいる一方で、清水さんのジャーナリズム精神。前回のブログと重複するが、その姿勢に感銘を受けたし、嬉しくもなった。

「警察を敵に回したくない」

マスコミの立場からすると、当たり前の感情だ。それでもおかしいことはおかしいと、真実を報道し続ける姿。そしてその姿勢に感化され、立ち上がった別メディアの報道マン。詩織さんはマスコミによって傷つけられたが、またマスコミによって救われたのだと思う。

 

 

正直、これまで週刊誌なんてほとんどが嘘だと思っていた。芸能人の熱愛報道やら不倫疑惑やら、半信半疑でしか見ていなかった。

しかしこのタイミングで、FOCUS本(前述ブログ参照)を読んだり、映画「SCOOP!」を鑑賞したり、たまたま週刊誌記者SPを放送していた「あるある議事堂」を視聴したり、そしてこの本を読んだり。

まるで嘘ばかり書いているのではないのだな、と思った。むしろ、裏取りにとても時間をかけていて、信憑性がある。

仰天ニュースも、テレビ向けにある程度脚色しているだろうなと思っていた。読んでわかったが、ほぼ本書の内容通りで驚いた。さらには、ここぞ!というところは全て抑えていた。(特に、悪質なストーカー行為や警察の不祥事に関して)

今まで、テレビやマスコミに穿った見方をし過ぎていたな、と反省した。

仰天ニュースが何故このタイミングでこの事件を特集したのか真意は定かではないが、私のように、番組がきっかけで事件を知り、大きく感情を揺さぶられた人間もいる。

 

しかし、仰天ニュースの中で被害者の詩織さんや実行犯の久保田は何度も実名で取り上げられるのに対し、肝心の小松はKというイニシャルでしか登場しなかった。清水さんの思いとは裏腹に、様々なしがらみがあっての放送・報道になっているのだと思う。

(小松は最終的に名誉棄損罪のみで被疑者死亡のため、テレビで実名を出すことが出来ないのだろう)

 

因果応報、という言葉の通り“悪い行いをすれば悪い報いがある”と信じたい。

本書を読んでいると、清水さんがここまで真実に辿り着けたのは本当に偶然の連続で、本人も文中で「ツキがついてる」と何度も発している。もし彼にツキがついていなければ、警察のこの不祥事は永遠に葬り去られていたかもしれない、と考えると恐ろしくなる。

悪は、裁かれる。そういう世の中であってほしい。

 

 

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)