えんため日記。

エンタメだいすきなTV番組制作員(末端)。 日々触れたエンタメの感想を綴る。

本『フォーカス スクープの裏側』&映画『SCOOP!』

 

『フォーカス スクープの裏側』

 

前回記事に書いた桶川ストーカー事件を機に写真週刊誌「FOCUS」に興味を抱き、その後wikiやネット記事で調べ、その方針・理念みたいなものに関心を持った。

(正直それまで今でいうフライデーやFLASH的な俗物的な雑誌の印象しかなかった)

そんな折、BOOK OFFでこの本をたまたま目にし思わず購入。

 

単純に、自分があまり知らない事件の知識を得る意味でも興味深かった。

(ホテル・ニュージャパン大火災、豊田商事会長刺殺事件、日航機墜落事故トリカブト殺人、雲仙普賢岳火砕流…。あと、聖子ちゃんの愛人報道や明菜の酒浸りの日々とか80年代スターのスキャンダル。見たことがなかったので面白かった。)

 

そして、取材対象へのその執念。

警察病院に入院している片桐機長を撮影するため、ロケハンし花火を打ち上げて窓を覗くターゲットを撮影したり。ロッキード事件で渦中の人物だった田中角栄の法廷写真、涙ぐましい努力を重ね盗撮に成功したり。(法廷写真の盗撮はモラルとしてどうなのかと当時新聞などで議論になったそうだ)何日にも渡る張り込み、取材、何か事件があればすぐに飛んでいくそのマインド。

 

一言に“パパラッチ”というと、正直あまり良い印象を抱かない。漫画やドラマでも、悪役にされがちの存在だ。

だけど編集部では、写真を撮り、我々世間にそれを発表するという“使命”を持ち、命懸けの本気でターゲットを狙っている。

もちろんこの本はFOCUS視点でしか書かれていないため、彼らのやっていることは美化され表現されている部分も多いと思う。(雲仙普賢岳火砕流でのカメラマン殉職など美談として書かれているが、ネットで調べてみるとこの災害の被害者はマスコミのせいなどの記事が多かった)

 

しかし、前回ブログでも書いた桶川ストーカー事件での功績による、ストーカー法の制定や神戸児童連続殺人事件の少年A顔写真掲載による、少年法適用年齢の議論など、FOCUSが社会に与えた影響はかなり大きい。(“ニャンニャン写真”なんて言葉を生んだのもフォーカスによるものらしい)

何が正しいか、悪か、正解はわからない。

でも彼らの中の正義があって、その使命を持って「権力に果敢に立ち向かった(※本誌帯より引用)」FOCUS。

色々と考えさせられた一冊だった。

 

 

 

そんな折、丁度公開されていた映画「SCOOP!」

正直見に行くつもりもなかったのだが、↑を読んでパパラッチが舞台というのに興味を惹かれ、さらにあまりにネットでの評判が良いので、6年ぶりぐらい?にひとり映画に行ってきた。

 

うーんまさかこんなに泣くとは。笑

そもそも泣く映画とはまさか思わず。想像していた内容と違いすぎるストーリーだった。

 

それはさておき、福山雅治がとにかく魅力的すぎる!

口を開けば下ネタばかりの、頑固なベテランカメラマン。ほんと古いタイプの業界人っていうのがなんだか自分の業界にも通じるものがあり、(あーこんな人いる!って共感してしまった笑)

台本だけ見ると多分最低な男にしか見えないと思うのに、それでも吉田羊やら二階堂ふみ(そして私も)、彼女たちが惹かれるのに十分な説得力がある。

そんな魅力的すぎるキャラクターに演じてしまう福山雅治はさすが、あっぱれとしか言いようがない。

 

そして、二階堂ふみが言う「この仕事、最低ですね」という台詞。

この「SCOOP」って雑誌、完全に私はFOCUSを意識してると感じて(実際に台詞でも「警察病院での花火」「法廷写真」とかFOCUSでのエピソードを話している)、だから余計に福山に感情移入してしまった。福山がかつてFOCUSので命削って写真撮ってたカメラマンに思えて。

業界ド素人の二階堂ふみが、こんな最低男とスクープ撮影を重ねていくにつれ「この仕事、最高ですね」に変わっていくのが熱い。

 

↑にも書いけど、パパラッチっていうと“正義”とは反対にいる“悪”(ステレオタイプ的な)の印象があったが、この映画を見るとどちらかというと撮られる方が悪だ。

2人がバシバシスクープを撮っていく前半の流れにはこっちもスカっとする。

そして、中盤の山場。4人もの女性を殺した連続殺人犯の顔を撮ろうと奔走する彼ら。

ここがクライマックスだと思ったし、元々そういう映画だと思っていた。二階堂ふみの成長モノだと。

 

けどここで終わらないのがやられたなー…。

ここまでで静さんのこと、とんでもなく好きになっちゃってたから涙が止まらなかった。

 

 

ジャーナリズムとは。載せる載せないの行政、倫理。仕事の魅力。チームワーク。

そんなところも色々考えるところがあったけど、とにかくキャラクターが魅力的でストーリーにもやられました。

このタイミングで見れて良かった映画です。

 

もっと自分の知らない世界のこと、たくさん知りたいなー。